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~ゆるやか映画感想ブログ~

『ゴースト・イン・ザ・シェル』~むずかしくない攻殻機動隊~

 むずかしくない攻殻機動隊

ゴールデンウィークともお別れですね。

GW中になんとか3つ目の記事にたどり着けました!

今回の映画は、日本の作品である『攻殻機動隊』をハリウッドで実写化した『ゴースト・イン・ザ・シェル』(2017)です! 

 主人公の草薙素子スカーレット・ヨハンソンが演じること、さらにビートたけしが出演することなどで話題になった今作。

原作ファンの私としてはぜひ見に行きたい!と思っていたのですが、なんやかやで先延ばしにしてしまい、こんな時期になってしまいました。

全体の感想を言えば、面白かったです!

一方で、SFの名作リストに入るかといわれると、なんとも。

というわけで良作といわせていただきます!

今回もネタバレありです。

まずはあらすじ。

電脳化義体が進んだ未来の世界。

軍需企業であるハンカ・ロボティクス社は、義体化技術を用いた人間兵器の開発を推し進めていました。

映画の冒頭では、人工の体に脳が移植され、完全義体化された人間が作られる過程が描かれます。

その人こそが、今作の主人公であるミラ・キリアン少佐スカーレット・ヨハンソン)でした。

目を覚ました彼女は、オウレイ博士とハンカ社の社長のカッターから、自分がテロの襲撃から生き残ったこと、完全義体化した最初の人間であることを告げられます。

1年後、ミラは少佐として公安9課に配属されていました。

そんな折、ハンカ社のオズモンド博士が、アフリカの大統領との会食中に芸者ロボットに襲撃される事件が発生します。

ミラ少佐の活躍で芸者ロボットは撃退できたものの、オズモンド博士はすでに殺害されていました。

事件を受けて公安9課では、荒巻ビートたけし)の指示のもと、犯人として浮上した「クゼ」という男を追うことになります。

クゼが操っていた芸者ロボットの解析データを得るため、ハンカ社へ向かったミラとトーピルウ・アスベック)。

しかし、いまだ解析は進んでおらず、ミラは芸者ロボットに直接ダイブして情報を得ることを試みます。

クゼによって芸者ロボットに仕掛けられたトラップをすんでのところで回避し、彼の居場所を突き止めます。

そうして向かった先のナイトクラブではクゼに会うことはできず、仕掛けられた爆弾でバトーが眼を負傷する結果に終わりました。

クゼの犯行は続き、次にハンカ社のダーリン博士が殺害されます。

犯行現場から、クゼがプロジェクト2571に関与した人物を狙っていることが判明し、ミラは次のターゲットがオウレイ博士であると気づきます。

クゼは清掃車のドライバーを操作してオウレイ博士を殺そうとしていましたが、

 少佐はギリギリのところでオウレイ博士の救出に成功。

そして、操られていた清掃員からクゼのアジトを突き止めます。

クゼのアジトに赴いたミラでしたが、そこでミラはクゼからある事実を告げられます。

それは、クゼもミラと同じくプロジェクト2571という完全義体化実験に使われた人間であり、ミラはその唯一の成功例であるということでした。

クゼが実験の失敗作として廃棄されたこと、彼が意識体として進化し、彼らへの復讐を望んでいることも明かされます。

彼女は事実を確かめるためオウレイ博士を訪ねますが、彼女からも同じ事実を聞かされます。

さらに、ミラがテロに襲撃され家族を失ったという記憶も、あとから植え付けられたものでした。

自分が何者かわからなくなったミラは途方にくれますが、彼女が真相に気づき始めたことを知ったカッターは彼女を捕らえます。

そして、オウレイ博士にミラの処分を命令しますが、オウレイ博士はそれに反発し、彼女にすべての真相の手がかりとなるデータを託します。

ミラはカッターのもとから脱出し、手がかりとして記されたアパートの部屋へ向かいます。

その部屋に住むハイリ桃井かおり)は、自分の一人娘であった素子が家出したのち行方不明となり、遺骨だけが返ってきたことをミラに話します。

ミラは彼女が自分の母であることを悟り、おおよその真相を理解します。

そのころカッターも、自分を裏切ったオウレイ博士を殺したのち、公安9課を潰そうとメンバーへの襲撃を開始していました。

9課のメンバーたちが襲撃に対処する中、

ミラは素子だった時に住んでいた隠れ家を訪ね、そこでクゼに出会います。

そして、クゼも元はヒデオという男で、ミラ(素子)とともに隠れ家で暮らしていたことが判明します。

そこに現れたのが、カッターが操る多脚戦車

追い詰められながらもなんとかそれを撃退。

クゼは現実をすて電脳空間で生きていくことをミラに提案しますが、

ミラはそれを断り、現実世界で生きていくことを決意します。

クゼはカッターの派遣したヘリによる射撃で破壊されてしまいますが、

サイトーの活躍もあり、ミラは救出されたのでした。

一方、荒巻は襲撃に対処したのち、首相と掛け合ったうえで、カッターを射殺します。

そして事件は終結。ミラも素子として自分の母と再会し、草薙素子という名を知ります。

そして、草薙素子少佐として公安9課の新たな任務に臨むシーンで映画は終了します。

ここがよかった①

文句なしによかったのはビジュアルです。

そこら中にあふれるカラフルなデジタルサイネージやネオン。巨大なホログラム広告と、中国と日本が入り混じった雰囲気。

芸者ロボットのブキミな見た目も、

まさにサイバーパンクの王道といった感じ。

ブレードランナー』らしい感じはもちろん、同じような雑然とした雰囲気が、テリーギリアム監督の『ゼロの未来』を思い出させました。

冒頭の義体が作られるシーンや、芸者ロボットにダイブするシーンも、

やはりハリウッドらしいお金がかかった仕上がりで、原作の感じがよく出ていました。

ここがよかった②

 映画の随所に原作へのリスペクトが感じられました。

ビルからの背面落下とかはもちろん、

清掃車のドライバーを操るシーンでのドライバーが逃げる路地裏の感じとか、

水が張ったところでの戦闘とか、

見覚えのある場面が多かったです。

アニメよりも押井守監督の映画版ですね。

エンディング川井憲次さんの『』も、攻殻機動隊ファンとしてはうれしかった。

ここがよかった③

よかったと書きましたが、ここは意見が分かれるところだと思います。

それはよくも悪くもハリウッドらしくアレンジされているところ。

哲学的で難解な部分を持つ攻殻機動隊という世界を、

アクション主体でできるだけわかりやすく描いている今作。

そのため、哲学性や難解さという魅力は低減していますし、

トーリーもわりにありがちなものになってしまっている印象です。

ですが、一方で原作に触れていなくてもわかりやすいストーリーになっていることで、

攻殻機動隊の入門編としておすすめできる映画になっているともいえます。

こういう描き方も個人的にはありですね。

ここがよかった④

キャラクターも賛否あると思いますが、個人的には好きでした。

スカーレット・ヨハンソンの素子は皆さんがいうようにむっちむちで、

セクシーではあるんですがアクションシーンでは説得力に欠けちゃってたかも。

ですが、彼女のもつ雰囲気はあってました。

LUCY』とかもそうですが、SFとの親和性、高いです。

ビートたけしもセリフが聞き取りにくいとかは確かにあるんですが、なんとか英語字幕で理解。

戦闘の矢面に立つのも、裏側からの圧力で素子をサポートする原作の荒巻のイメージとは少し離れてるかなーという印象ですが、

ビートたけしのイメージには合っていましたし、存在感があった。

バト―の眼も原作らしくて納得。

ただ、トグサさん。

ちょいと老けすぎ?

あの人が悪いっていうより、イメージとはビジュアルが違ってました。

そんなところでしょうか。

まとめ

攻殻機動隊のもつ哲学性とアクション性を、ハリウッドらしい感じでバランスをとってエンターテインメントに仕上げた作品です。

トーリーとしての面白さはほどほどですので、深さを求めると物足りなさはありますが、

攻殻機動隊シリーズの入門編としておすすめです!

もう一度、映画版の攻殻機動隊を見直したいですね。