デリバレイティブ映画観

~ゆるやか映画感想ブログ~

『奇妙な果実』 ビリー・ホリデイ

ジャズ初心者向けの本からランダムに選んだ

最初の一曲はこちら。

 

ビリー・ホリデイ『奇妙な果実 Strange Fruits 』です!

アメリカを代表する女性ジャズ・ボーカリストであるというビリー・ホリデイ

1930年代から50年代にかけて活躍した彼女の人生は、

 人種差別や麻薬・アルコール依存症との闘いの人生でもあったようですね。

そんな彼女の代表曲である『奇妙な果実』

『奇妙な果実』とは、リンチによって殺害され木に吊るされた黒人の死体のことで、

まさに人種差別との闘いをうたった曲になっています。

作詞作曲はルイス・アレン(本名 エイベル・ミーアポル)という高校教師によるもので、

ビリーの働いていたクラブのオーナーが彼女にこの曲を歌わせたことがきっかけとなり、

1939年から彼女のレパートリーとして謳われるようになりました。

黒人差別の嵐が吹き荒れていた当時のアメリカで、

黒人であるビリーがこの曲を歌うのは命の危険さえある行為でした。

それでも彼女がこの曲を歌い続けたのは、

当時もっとも差別の激しかったテキサス州で、肺炎の治療を差別によって受けることができず死亡した彼女の父親への、

さまざまな思いがあったからだといわれています。

この曲を聴いた第一印象は、やはりこの曲の持つ陰惨な雰囲気でしょうか。

歌詞で描かれる状況は、非常に陰鬱です。

南部の強い日差しが、

リンチによって殺され、木に吊るされた死体をじわじわと焼いていく。

日本で平穏に暮らしているわたしにとってはどこか現実味のない光景ですが、

この構図自体は現代でも至る所に存在しているのではないでしょうか。

人種差別が日本でも世界でもいまだ根強く残っていることはもちろんですが、

様々な弱者に対する社会の状況も、この曲の光景と同じように思われます。

排除され、虐げられる人々に対して、

私も含め多くの人々は奇妙な果実を強く照らし続ける太陽のように無関心なままです。

ビリーの歌声が、そんな状況への悲しみや憤りを強く訴えかけます。

彼女のもつバックグラウンドが、

その歌声に圧倒的な感情を込めさせ、

聞く側に魂を感じさせるのだと感じます。

楽しく陽気に聞く曲というよりは、

ジャズがもともとどのような意味を持って生まれた音楽なのかを

認識させてくれる曲でした。

それでは。