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~ゆるやか映画感想ブログ~

『LOGAN/ローガン』(2017) ~さようなら、こんにちは~

~さようなら、こんにちは~

『メッセージ』を観ようかなと思っていたのですが、

時間の都合で今回の映画を見ることになりました。

『LOGAN/ローガン』(2017)です!

これまで全く『X-MEN』シリーズやウルヴァリンシリーズをみたことがなかったので、

どこまで理解できているのかはやや不安ですが、

まずはあらすじ。

 

舞台は2029年の、ミュータントがほとんどいなくなった世界。

そんな世界のなかで、

ウルヴァリンとして活躍したローガン(ヒュー・ジャックマン

ドライバーとして生計を立てていた。

 

ローガンが自分の車のタイヤを盗もうとするギャングたちとひと揉めするところから映画は始まる。

しかし、不死身ともいえる体を持っていたかつての姿はそこにはなく、

ローガンは相手を倒すだけで精一杯だった。

彼の体は自身に埋め込まれているアダマンチウムの毒に侵されており、

傷の修復も衰えていたのだった。

 

彼がドライバーとしての仕事をしていたある雨の日、

1人のメキシコ人の女が彼に助けてくれるよう頼む。

しかし、ローガンはそれをすげなく断る。

すると後日、ある男が自分の車に乗り込んできて、

ローガンに話しかけてきた「ガブリエラ」という女を探すのに強力しろという。

ローガンはそれも断って、

メキシコとの国境付近にある自分の家へと帰る。

 

そこには、キャリバンというスキンヘッドのミュータントと、

かつてプロフェッサーXとよばれたチャールズというミュータントの2人がいた。

ローガンはかつての師であり、現在は認知症で自らの超能力を抑えられないチャールズのため、

彼に薬を与え続け、キャリバンとともにここにひっそりと暮らしていたのだった。

 

そんな時、彼が客を迎えに行った先に、

以前助けを求めてきたガブリエラという女と、一人の少女がいた。

ガブリエラはノースダコタまで運んでほしいとローガンに頼み、彼に2万ドルを手渡す。

金がたまったら船を買ってチャールズらとともに海で暮らすつもりだったローガンは、

やむなくこの頼みを引き受ける。

 

しかし、彼が一度家に戻って支度を整え、

再びガブリエラのところへ赴くと、

彼女はすでに殺されていた。

 

そこでガブリエラの携帯を拾ってまた家に戻ると、

かつて自分にガブリエラ探しに協力するよう頼んできたピアースという男が尾行してきていた。

彼はガブリエラとともにいた少女・ローラを渡すよう要求する。

 

しかし、突然鉄パイプが飛んできて、

ピアースの頭を直撃する。

こっそりローガンについてきていたローラの一撃によって失神したピアースを、

キャリバンが遠くへ運んで打ち捨てるも、

目を醒ました彼はキャリバンを捕まえて

部下の大群とともに再びローガンの家へと迫る。

 

重武装した敵に対し、ローラはウルヴァリンのように手の爪不死身の体で暴れまわり、

死闘が繰り広げられる。

そして、ローガンとローラ、チャールズの3人は辛くも逃げ切って、

北へと向かう。

 

 

その車中でガブリエラの携帯に残されていた動画から、ローガンは

ローラが「トランシジェン」という会社の実験で生み出された人造のミュータントであること、

そのようなミュータントが何人もいることを知る。

ガブリエラは彼らを逃がし、「エデン」という場所に向かわせたという。

 

 

コンビニでのひと騒動のあと、

ローガンは態勢を整えるために泊まったホテルで、

ローラがローガンの精子から作られた彼の娘だったこと、

そしてガブリエラのいう「エデン」の場所がコミックに描かれた「エデン」の場所と一致することを知った。

 

しかし、ローガンが新しい車を手に入れている隙に、

再びピアースたちが襲撃してくる。

襲われたチャールズが超能力の発作を起こしたことで敵は麻痺させられていて、

ローガンはなんとか敵からローラとチャールズを救い出し再び逃げる。

 

その道中で出会った親子の家に泊めてもらい、

チャールズはひと時、これまで味わったことのない家族の安らぎを味わう。

しかし、ローガンがその家の父親と水道を直しに行っている間に、

X-24というローガンのクローンが襲撃してきて、

チャールズと家族たちを皆殺しにしてローラを連れ去ろうとする。

そこに帰ってきたローガンたちは異変を察知し、

X-24との激しい戦いを繰り広げる。

 

瀕死の状態の一家父親の銃撃でなんとか相手を撃退したローガンは、

ローラとともに再び逃亡を続ける。

水辺でチャールズの死体を埋葬したローガンは、極度の疲労から意識を失う。

医師の軽い治療を受けたローガンは、

初めて喋ったローラから「エデン」にいくよう頼まれる。

ローガンは「エデン」がコミックに描かれた架空の場所だと思っていたが、

ローラに押し切られそこに向かうことにする。

 

途中で眠ってしまったローガンが眼を覚ますと、

ローラの運転ですでにノースダコタの「エデン」にたどり着いていた。

そこには多くの子供の人造ミュータントたちが集団で暮らしていた。

ミュータントの子供たちは翌日にはカナダの国境を超えて逃げ延びる予定だという。

一方そのころ、ピアースたちも「エデン」の場所を突き止めていたのだった。

 

翌日、ローガンが目を覚ましたとき、すでに子供たちは出発していたが、

備え付けの双眼鏡で彼らにピアースたちが迫っているのに気付いたローガンは、

ミュータントたちのリーダーから渡されていた体を回復させる薬剤をもって追っていく。

 

ミュータントの子供たちが次々捕まる中、

薬剤を使用したローガンは敵を次々と倒していく。

その場にいたライス博士も殺したが、X-24との戦闘は、すでに薬の効果も切れて弱り切っていたローガンを苦しめた。

 

ピアースは子供たちの超能力によって殺されたが、

ローガンは木に突き刺されて瀕死の傷を負う。

ローラがローガンからこっそり盗み持っていたアダマンチウムの弾丸でX-24の頭を撃ち抜いたことで戦いは終わったが、

ローガンはすでに死にかけていた。

 

最期の最期、涙するローラをみたローガンは、

家族の温かみを感じながら息絶えるのだった。

 

子供たちはローガンを埋葬し、

カナダの国境を目指して歩いていく。

 

ひとり残ったローラも、ローガンの十字の墓標を

「X」という形に傾けて去っていくのだった。

 

ここがよかった①

『LOGAN』は、これまでのアメコミ映画のイメージとは異なる作品でした。

たいていのアメコミ映画といえば(やや偏見混じりですが)

超絶無敵のヒーローたちが敵の襲撃を受けて、

様々なピンチを潜り抜けながらも、

持ち前のスーパーパワーを発揮して撃退するといった感じのストーリーですね。

 

しかも大概のピンチは敵が強かったりとか、

味方が人質にとられたりといった、

外的な要因です。

ちょっと修行したり機転を利かしたりすれば何とかなってきました。

 

しかし、今回はちょっと趣が異なっていました。

派手なアクションシーンはあるものの、

主眼はそこではなく、滅びつつあるミュータントたちの姿、内面に向けられていました。

 

まず、あらすじでも書いたように、

主人公のローガンはこれまで持っていたスーパーパワーをほとんど失いかけて、

体も自身の強さを支えていたアダマンチウムによって蝕まれています。

チャールズも認知症を患い、自身の能力の制御ができず苦しんでいます。

 

そして、彼らと同じミュータントはほとんど姿を消し、

マイノリティーとしてひっそりとメキシコ国境に暮らしているのです。

住んでいる場所からもアメリカ社会から排除されていることがうかがえます。

 

ローガンたちは敵に追われてアメリカを縦断するのですが、

あくまでもミュータントという異質なものを許さない社会、マイノリティーを認めようとしない社会が

ピアースたちの姿をとって彼らに迫っているといってもいいでしょう。

 

つまり、ローガンやローラ、チャールズが立ち向かわなければならない敵は、

老い、病、そして他者への差別・不寛容という、

人間がどうしても避けられないものであるのです。

 

そうしたものと戦うアメコミというのは

自分はあまり知らなかったので、

なかなか斬新に感じられました。

 

この映画のなかでは

ローガンの衰え、チャールズの認知症といった

老い、病に対する解決策は提示されません。

これは現実でもそうですし、

提示できないというのも一つの答えだと思います。

あるいはチャールズとローガンが死の間際に感じた家族の安らぎが、

その答えであるかもしれません。

 

そして、もうひとつ、差別と不寛容という敵に対してこの映画が提示したのは、

アメリカから出ろということでした。

人造ミュータントというマイノリティの子供たちが行く先はカナダであり、

子供たちという未来はアメリカにはないという、

アメリカの現状を痛烈に批判したメッセージが描かれているのだと感じられました。

 

カナダには行こうとせずアメリカに残ろうとしたローガンが死んでしまうのも

象徴的だったように感じます。

 

そして、ロードムービーという形式を通じて

深まっていく親子愛もこの映画の魅力的な要素でした。

 

ここがよかった②

なんといってもローラを演じたダフネ・キーンさんは素晴らしい存在感を放っていました。

今回は吹き替え版を見たということで、

鈴木梨央さんが声を担当していました。

 

なのでスペイン語とかはやっぱり違和感があったのですが、

表情の演技はとても印象的でした。

 

目力の強さとどこか大人っぽさと寂しさを感じさせるたたずまい。

最初の登場シーンで暴れまわるところはクールさを強く感じさせるのですが、

旅が始まると意外と笑顔を見せたり、

服をほしがったりと、カワイイんです。

 

もちろんアクションシーンの派手な戦いっぷりもかっこよかったです。

ローガンがあんな感じなので、

なおさら際立ってて、よかったです!

 

アクションシーンはヒュー・ジャックマンが頼んでまでR指定にしたということで、

なかなかのグロさ。

生首、貫通、バラバラ、木っ端みじんと死に方のバリエーションが豊富でした。

 

いろんなところに刺さったり刺したり刺されたり、かなり忙しかったです。

 

ダフネ・キーンさんが出演するスピンオフも計画中という話もあって、

ますます楽しみです!

 

 

まとめ

ウルヴァリンシリーズをほとんど見たことがない私でさえ面白く感じられた映画でしたので、

思い入れのある人にはもっと意味深い映画だったのではないでしょうか。

ウルヴァリンとはお別れですが、

ローラというあらたなキャラクターがお披露目となり、

同時に深いメッセージ性も感じさせる面白い映画でした。

ちなみに、ヒュー・ジャックマンは疲れ果てたおじさんの役がなぜあんなにはまるのでしょう。

同じくヒュー・ジャックマンが憔悴しきる映画『プリズナーズ』をまた見たくなりました。

それでは。