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~ゆるやか映画感想ブログ~

『美女と野獣』(2017) ~ピュリファイング映画~

~ピュリファイング映画~

 

今回の映画は美女と野獣』(2017)です!

監督はビル・コンドン、主演はエマ・ワトソンダン・スティーブンス

公開から結構立ってしまったのですが、

ようやく字幕版で観てくることができました。

 一言でいえば、とても完成度の高い実写化でした!

というわけで、

まずはあらすじ。

ある国の美しく傲慢な王子が、美しいものだけを集めた舞踏会を開いていた。

そこへ、みすぼらしい老婆が一夜の宿を求めてやってくる。

醜いものを嫌う心の冷たい王子は老婆の頼みをすげなく断るが、

老婆は魔女に姿を変え、

王子に呪いをかける。

 

「薔薇の花びらがすべて散る前に、愛し愛されることを学べ」

王子は野獣に姿を変えられ、

王子の臣下たちも燭台や時計、食器などに姿を変えられた。

魔女の魔法はその城の存在すらも人々の記憶から消し去り、

長い孤独の時が過ぎることとなった。

 

舞台は変わり、ヴィルヌーブ村。

朝の活気ある村の中を、『朝の風景』の歌とともに主人公のベル(エマ・ワトソン

歩いていく。

読書を愛し、狭い田舎ではなく広い世界を夢見るベルは、

美人ながら村の中では変人扱いを受けていた。

しかし、村の人気者ガストン(ルーク・エヴァンスは彼女の美しさに心を奪われ、

彼女にたびたび結婚を迫っていたのだった。

腕力はあっても教養のないガストンを嫌うベルは、

彼の求婚を断り続けていた。

 

そんな折、オルゴール職人のベルの父・モーリス(ケヴィン・クライン

オルゴールを売りに村を出た帰り道、

忘れられた城へと迷い込む。

城の周辺だけ季節が冬になっており、

寒さと狼に襲われたモーリスは城の中へと宿を求めていった。

その中で喋るティーカップをみたモーリスは恐怖で城から逃げ出すが、

ベルに持ち帰る約束だった薔薇の花を庭から持ち帰ろうとする。

だがモーリスは城に住む野獣(ダン・スティーブンス)に見つかり、

盗人として城に幽閉されてしまうのだった。

 

村で父の帰りを待っていたベルのもとに、

父の愛馬フィリップだけが返ってきた。

父の異変を察したベルは、フィリップに乗って城へとたどり着く。

城の中でベルは幽閉された父を見つけ出すが、

野獣はモーリスは終身刑だとベルに言い切った。

そこでベルは、父の身代わりとして幽閉されることを申し出た。

父はすぐに助けに戻ると言い残して、

城から去っていった。

 

独り幽閉されたベルだったが、

牢の扉が突然開いた。

不思議に思ったベルが外を見ると、

そこにいたのは動いて言葉を話す燭台だった。

ルミエール(ユアン・マクレガーと名乗る燭台に連れられて、ベルは美しい部屋で生活することに。

彼女こそ呪いを解くことのできる女性だと確信したルミエールは、

野獣に彼女を夕食に誘うようにけしかけるも、

ベルに断られた野獣は怒り出すのだった。

 

その夜、ルミエールたち臣下が、『ひとりぼっちの晩餐会』の曲にのせて

ベルをもてなす。

その帰り、ベルは行ってはいけないといわれていた西の塔で

散りつつある薔薇を見つける。

野獣はそんなベルに、城から出て行けと怒鳴る。

ベルはフィリップと城を出ていくが、

その途中で狼たちの襲撃を受ける。

抵抗もかなわずピンチに陥ったベルを助けに現れたのは、

あの野獣だった。

助けることはできたが、野獣は傷を負って倒れてしまう。

ベルはそんな彼を城へと運ぶのだった。

 

ベルは野獣の手当をし、臣下たちから

野獣の生い立ちを聞かされる。

野獣が様々な本を所有する教養にあふれた人物であることを知ったことをきっかけに、

2人の距離は縮まって行く。

魔法の本でパリへ行き、

ベルの生い立ちを知るという経験は、

2人が同じ寂しさを抱えていることを互いに理解させた。

そうしてベルは野獣の内面的な魅力に惹きつけられていき、

野獣もまたベルに惹きつけられていった。

 

一方、村に戻ったモーリスは、

村人たちに野獣に囚われた娘を助けてほしいと頼むが、

誰も彼の話を信じようとしない。

そんな中、ベルとの結婚のためにガストンが部下のル・フウ(ジョシュ・ギャッドを連れて助力を申し出る。

だが、城の入り口に近づいたところで、

ガストンがモーリスの話を信じていないことを言ってしまうと、

モーリスは娘とは決して結婚させないとガストンに言い放った。

激怒したガストンは彼を殴り木に縛りつけて、狼の餌となれ、

とモーリスを殺そうとする。

 

モーリスは乞食のアガット(ハティ・モラハン)に助けられ、再び村へと戻る。

そこでガストンに殺されかけたことを村人に話すしたが、

村人たちはガストンに丸め込まれてしまい、

精神異常者扱いをされたモーリスは精神病患者の施設に送られそうになっていた。

 

そのころ、ベルと野獣は舞踏会に臨んでいた。

代表曲である「美女と野獣」の美しいシーンの後、

野獣はベルに思いを告げる。

しかし、父が気がかりなベルをみて、野獣は魔法の鏡で

ベルに父の様子を見せる。

そこにはまさに連れ出されようとするモーリスの姿があり、

野獣はベルに父を助けに行くよう勧めるのだった。

 

ベルが魔法の鏡をもって村へ戻りモーリスを助けようとするが、

野獣を信じないガストンはモーリスを解放しようとしない。

そこで野獣が実在することを魔法の鏡で見せると、

ガストンはベルが野獣の魔法にかけられたと村人たちに語り、

野獣から村を守れ、野獣を殺せと村人たちを扇動した。

ベルとモーリスは馬車に閉じ込められ、

ガストンと村人たちは武器を手に取って野獣の城へと行軍していった。

 

 

城に迫る村人たちを、ルミエールたちは団結して迎え撃つ。

だが、混乱の中でガストンはひとり野獣のもとへとたどり着いた。

そして、ベルが去ってしまったことで沈み切っていた野獣を銃で撃つのだった。

そこに、馬車から抜け出して城へと到着したベルが現れる。

ベルが戻ってきてくれたと一気に元気を取り戻した野獣はガストンを追い詰める。

しかし、自分は野獣ではない、とガストンを殺さずに解放する。

そしてベルとの再会を喜んだその瞬間、

ガストンの銃弾を背中に受けて野獣は倒れてしまった。

ガストンは城の崩壊に巻き込まれて落ちていったが、

野獣も瀕死の状態だった。

そして、最後の花びらが散って、

野獣は息絶え、村人たちを追い払ったルミエールたちも完全に家具となってしまうのだった。

 

だが、ベルが野獣に愛を告げると、

その場にいた乞食のアガットが魔女へと変身し、

彼にかけられた呪いを解いた。

野獣の体を光が包み、

王子は人間の姿で生き返った。

臣下たちも人間の姿を取り戻し、

村人たちも城の記憶を取り戻した。

そして、すべてが元通りになった世界で、

舞踏会が開かれる。

そして、ベルと王子は互いの愛を確かめながら、

ハッピーエンドを迎えるのだった。

 

感想

とにかく音楽が素晴らしかったです。

まず、始まりのヴィルヌーブ村から心をつかまれて、

 

一気に映画の世界に引き込まれていきます。

 

ミュージカルのシーンはどれも素晴らしくて、

特に2人のダンスシーンの美しさ、

あまりの美しさに

これ以上美しいシーンは地球上に存在するのかな?と思わされるほどのシーンでした。

心が清められましたね。

 

個人的に印象的だったのは、ルミエールたちがベルをゲストとして迎える晩餐のシーンです。

盛り上がり方が尋常じゃないです。

ディズニーのファンタジーな世界観って、

すごく魅力的なんですけど、

やっぱりどこか夢の中のような狂気が潜んでいる感じがするんです。

不思議の国のアリス」みたいな。

ほとんどがロマンチックで美しいシーンだっただけに、

この狂気とのはざまにギリギリまで迫るこのシーンの印象は強いですね。

アニメ版では感じなかったので、狂気を感じるのはやっぱりルミエールの造形のせいかなと思います。

カワイく…はないですよね。

 

とにかくエマ・ワトソンもダン・スティーブンスも素晴らしい歌声でした。

これだけで映画館に行く価値があったといいたいです。

ガストンとル・フウの曲もよかったですよ。

 

トーリーは原作にとことん忠実でした。

ベルの母のストーリーなどの改変部分もストーリーを補助するもので、

むしろ映画の理解を深めてくれるような印象でした。

説明しすぎと感じる方もいるとは思いますが。

ほとんどの人がオチまで知っているというハードルがある中で、

うまく楽しめる映画になっていた感じです。

 

個々人についていえば、

エマ・ワトソンの美しさは圧倒的でした。

意志の強いキャラクターに見事にハマっていました。

城の中、魔法、という要素が時折ハーマイオニーをほうふつとさせてしまいましたが、

そんなことは気になりません。

野獣の巨大な雪玉を顔面に食らうシーンも面白かったです。

 

野獣役のダン・スティーブンスは素晴らしい歌声でした。

野獣の状態ですでにイケメンなんですが、

ダンのおかげで、アニメ映画の「人間に戻った野獣がイケメンじゃない問題はなくなりました。」

人間に戻ってもだれが見てもかっこよかったです。

 

ルーク・エバンスが演じたガストンも筋肉不足な感はあれど、

そのあふれ出るナルシシズムに満ちた自信と筋肉バカっぷり、

終盤にかけての「こいつヤバいな」と思わせてくる変貌ぶりが

このストーリーに欠かせないですね。

 

オラフを演じたジョシュ・ギャッドが演じていたル・フウもまたいいキャラクターでした。

彼の同性愛を思わせる設定が議論を呼んだということもありましたが、

過去の映画をリメイクする以上、

リメイクした時代を反映することが必要だと個人的に思うので、

この映画のメッセージとして受け取ればいいのかなと。

最後はあらたな相手を見つけてましたし。

 

また、黒人俳優が多く起用されていたのもポリコレだといわれていましたが、

これは自分もやや感じました。

時代背景や地域が限定されている物語なので、

明らかにそこにあっていない、違和感のある起用ではあったと思います。

その違和感を押し切ってでも多様性というメッセージを伝えたかったのでしょう。

 

ルミエールら臣下たちもそれぞれ個性的で映画の見どころの一つでした。

アニメ映画よりもかわいらしさみたいなものはなくなって、

ちょっと怖く見える感じもありましたけど笑

 

ともあれ、20年前に作られたストーリーや音楽のすばらしさが、

この時代にも全く色あせることなく観るものを魅了します。

ディズニー・ルネッサンスをもたらしたアラン・メンケンのすごさを痛感しました。

 

そして、監督のビル・コンドンも名作の実写化リメイクという高いハードルをうまく超えていました。

 

また心が汚れたころに見ようと思います!

それでは。