デリバレイティブ映画観

~ゆるやか映画感想・随想ブログ~

図書館での本の選び方。

私はよく図書館を利用する。

 

貸し出し期限である2週間に1度、それより早く読み終えればそれ以上の頻度で、

幼い時から近所の図書館や学校の図書館に通うことを続けてきた。

おそらく、人生で最も継続的に行っている場所の一つであるはずだ。

だが、行くたびに私の頭を悩ませることがある。

それは、借りる本をどのように選ぶのかということだ。

 

 

むろん、正解など無い事はわかっている。

本の値段も考慮する必要はないし、純粋に自分の興味に従って選べばいいのだ。

しかし、これは実に簡単で、実に難しい事である。

選択肢が多すぎるのは人間にとってある種の不幸でもあるという。

私たちは図書館という場で自由の刑に処せられている。

 

 

では、そうした中でどのように本を選ぶのか。

一つの方法はあらかじめ読みたい本をリストアップしておくことだろう。

実際、私は日常生活の中で興味を持った本や作者の名前をEvernoteなどにメモし、

図書館での本選びの参考にしようと試みている。

非常に効率的かつ確実に本を選ぶことができるのがこの手法だが、

まったく面白みに欠ける方法であるのも事実だ。

 

 

図書館に入り、検索機でタイトルを探し、

示される位置へと歩いて、本を借りて出ていく。

これでは富士山の山頂にヘリコプターで乗り付けるようなもので、

山頂からの景色は見られるかもしれないが、

そこに至るまでの登山という過程、

すなわち本を選ぶという行為を楽しんでいるとは言えないのである。

 

 

では、あらかじめ借りる本を決めず、心の赴くままに本棚へと手を伸ばしてみるのはどうだろうか。

これであれば、存分に本を選ぶ過程を楽しむことができる。

エッセイを借りても、小説を借りてもいいし、

タイトルを見て気に入った本を選んでもいい。

しかし、この方法には先に述べた選択肢の多さゆえの苦悩が常に付きまとう。

その苦悩に耐えかねた結果、

いつも同じジャンルや同じ作者の本ばかりを選んでしまい、

読書の幅がかえって広がらないということもよくある。

 

 

このスタイルで図書館に臨む際に必要なのは、

自分が知らない世界に踏み込む勇気と好奇心である。

これまで関心のなかった分野の本でも、

読んだことのない作者の作品でも、

これまで触れることのなかった世界に好奇心を持てるかどうか。

その結果選ばれた本から借りた人の人間性が透けて見えるような、

ある種シビアな選び方であるともいえる。

 

 

さらに、まったくの成り行き任せにしてしまう手もあるだろう。

図書館の配架図を用意し、目をつぶって指をさした棚にある本を選び取る。

その際には、例えば5月20日であれば上から5段目、左から20冊目、といったランダムな数字を取り入れてもよい。

その結果手に取った本はまさに偶然がもたらした1冊であり、

そんな本がかえってその時の自分に必要なアイディアや楽しみを与えてくれるものである。

 

 

こうして書いていくと、

図書館での本選びはまさに旅に似ているようだ。

あらかじめ行きたいところを決めていく旅、

好奇心に任せた即興的な旅、

偶然がもたらす思いがけない出会い。

 

 

それぞれの人にそれぞれのスタイルがあり、

図書館という世界を自由に歩き回っている。

古代ローマでも、現代日本でも、時空を悠々と超えることができる図書館の旅を、

私以外の人はどのように楽しんでいるのだろう。

これからも続く旅路の参考として、ぜひほかの人のこだわりの選び方を聞いてみたいものだ。

そこにはきっとその人の人生がよく表れることだろう。

 

 

ちなみに私の選び方を割合でいえば、

あらかじめ決めておくのが5、その場で選ぶのが3、偶然に任せるのが2といったところだ。

皆さんはいかがだろうか。